間違った視点による、あ・ら・もーど


6話

「お前、今日からカフェミュウミュウでバイトしろ」
白金は、単刀直入に用件をきり出した。
「え、バイト?でも、あたしまだ中学生だしっ、第一、校則で・・・」
「じゃあケーキ食べ放題は無しだな」
「そ、そんなあーっ」
「無理強いはしない。ま、答えは顔に書いてあるけどな」
白金にからかわれ、ベリーは赤面した。
「ケーキが食べたきゃいつでも来いよ」

放課後、結局ベリーはカフェミュウミュウの前に立っていた。
「ベリーさん、こんにちは」
「あ、れたすさん。何だか足がついここに向いてしまって。別にケーキが食べたいとかじゃ・・・」
「全然ヘンじゃありませんよ。わたしもケーキは大好きです」
「あーら、相変わらず食い気の多い人達ですこと」
「そう言うみんとさんだって、ここで働いてるじゃないですか」
「わたくしは、お姉さまと一緒に居られれば、それだけで幸せですわ」
「あたしは別にどうでもいいわ。あまりここには来られないもの」
「お姉さま、つれないですわ」
「それじゃあ、みんなでバイトにれっつごーなのだ」
ベリーは、ミュウミュウ達と共に、カフェに入っていった。

「わあ−っ、この制服かわいいー」
「似合ってるのだーっ」
「えっ、へへっ」
歩鈴に初めてのカフェの制服姿を誉められ、ベリーは照れ笑いを浮かべた。
「あいつと違ってな」
「この前も言ってたけど、あいつって・・・」
「しっ!なのだ」
「ウワサをすると出てきますわよ」
「みんな気をつけて」
ざくろの一言で、一同に緊張が走った。しばらくして・・・
「に゛ゃあ゛〜っっ!!」
突如静寂を破り、バネ仕掛けの器械の音と、ネコを潰した様な声が辺りに響いた。
「ネズミが一匹ひっかかったのだ」
「かつおぶしで釣れるネズミさんですけどね」
「え・・・一体何の事?」

「あ、お客さまですわよ」
『あの・・・なんか表で、大きなネコみたいなのがジタバタしてるんですけど・・・』
「あたしに任せて」
ざくろは無表情のまま、つかつかと店の外に歩いて行った。
「お客さま2名ご案内なのだー。まずは歩鈴最新作の芸を見るのだ」
「お冷をお持ち・・・ああっ!・・・ごめんなさい、ごめんなさい」
「わっ、ど、ど、どーしよう」
「ほらベリー、何をボッとしてるんですの?さっさとフォローしなさい」
「は、はい」
「ほらそこ、おしぼりが出ていませんわよ」
「は、はいっ」
「疲れましたわ。肩を揉んでいただけるかしら?」
「はっ、はいっ」
ベリーは、客の応対をあれこれやらされた。
「ふーやれやれ・・・って、みんとさんも手伝ってくださいよ!」
「この時間はいつもアフタヌーンティーと決めてますのよ。あ、お姉さま」
「・・・いいコンビネーションね」
「みなさん好き勝手に動いてるだけですっ!」
「ベリーさん、五番テーブルのお客様にこれをお願いします」
「あ、はいっ」
ベリーは、赤坂さんに頼まれたケーキを客の所へ運びにいった。
「稜、彼女はミュウミュウの新しい光となるでしょうか」
「さあな・・・ただ、久しぶりにマトモな働き手が見つかった。これだけは確かだ」

「あー、やっと一日終わったぁーっ」
「皆さん、お疲れさまです」
「あ、そうだ。ケーキ食べ放題は?」
「すみません。今日は思いの外ケーキがよく売れてしまいましたので」
「あいにく皆さんにお出しできるのは、これだけしか・・・」
赤坂さんは、貧相なショートケーキを1切れだけ差し出した。
「そっそっそっ、そんなーっ」
「五等分するしかなさそうですね。小さくなっちゃいますけど」
れたすは、ケーキを5つに切り分けた。
「じゃあ、この苺が乗った部分は・・・」
「早い者勝ちなのだ!」
「お姉さまの物に決まってますわ!」
「ええ〜っ!」
「2人とも喧嘩はダメです!ざくろさんも何か言ってくださいよ」
「どんな理由があっても、あんな勝手な人間に手を貸すつもりはないわ」
「そうじゃなくって・・・」
「お前達、何を騒いでるんだ。・・・おっ、美味そうだな」
白金は、ケーキの上の苺をつまみ上げると、自分の口に放り入れた。
「あーっ!お姉さまのが」
「ベリーさんにあげようと思っていたのに、あんまりです」
「食べ物のうらみは恐ろしいのだ」
ミュウミュウ達の険悪な視線が、一斉に白金に向けられた。
「稜、避難して下さい。ここは危険です!」


客観的に見れば、歩鈴が弟達と同レベルの言い争いをするのはどうかって気もするのですが、
例によってギャグって事で。
オチの白金は確信犯です。ちょっと可愛そうですが、後で財力にモノを言わせたフォローを
入れるのでチャラと言う事に、彼の頭の中ではなっているのでしょう。
なかよしの方は、ベリーが正式に主人公の座を半分乗っ取られてしまいましたね。彼女は一体
これからどうなるのでしょう。カフェの制服は意外なほど似合ってました。やや地味な造形は、
こちらの衣装を考慮しての事だったのでしょうか?
無数の敵と言うのは、ご多分に漏れずなんでしょうけど、今回の仕込みからどうもっていくのか
再来月が楽しみです。


7話

新メンバーが加わって数ヶ月、ミュウミュウ達は白金の別荘へバカンスに来ていた。
「海は広いな大きいな〜、突きが入れば人沈む〜♪なのだ」
「それって死んじゃいますよ」
「歩鈴達もヒマですこと。砂の城ばかり何個もこしらえて」
「へへっ、つい年甲斐もなく熱中しちゃって。あ、そーだ、みんなでスイカ割りとかしてみませんか」
「そう言うのも悪くはないわね」
「たまには庶民の遊びに触れるのも、いいモノですわ」
「じゃあ、わたしが買ってきますね」
「歩鈴もいくのだ。スイカ選びは歩鈴にまかせるのだ」
れたすと歩鈴は、スイカを買いに出店まで歩いて行った。

「すみませーん、スイカを1玉ください」
「ようこそ。お待ちしていましたよお客さん」
「れたすのおねえちゃん、右から3番目のがうまそうなのだ」
「でもちょっと変わった模様ですね。なんだかプランクトンのように見えます」
「そう!全身にあまねく生命のエネルギーを行き渡らせ、高蛋白を持つプランクトン」
「さすが個性あふれる感覚を持つ方だ」
「歩鈴はパッパラー河合に見えるのだ」
「同じ物を見て、かくも違うとは・・・そっちの君は美の本質を理解してない人だ」
「でも君も、短期間とはいえ僕の客だ。特別に代金を支払わせてあげよう」
「なんかこいつムカつくのだ。こんなヤツに払うお金なんかないのだ」
「でも、他にスイカを売ってるお店はないみたいですし・・・」
「買うのなら、早くしてくれないか。僕だってヒマじゃないんでね」
「あ、はい、ごめんなさい」
れたすと歩鈴は渋々スイカを購入すると、皆のいる所へ帰って行った。
「やれやれ。なかなか図太い子ザル達だったな」
「ボクらの商売の邪魔だよね」
「せっかく僕が情けをかけて、1厘引のうちに売ってあげようとしていたのに」
「ちょっと遊んできていい?まだ何個も売れてないから、つまんないしさ」
「うさぎ狩り・・・か。仕方があるまい、好きにしたまえ」

「お待たせしました」
「ずいぶんと偉そうなスイカ売りのにーちゃんだったのだ」
「そりゃまたとんだご災難で・・・」
「で、誰が割るの」
「そうですわねえ、歩鈴だとすぐ終わってつまりませんし」
「あ、あたしがやりますっ」
ベリーは張り切って手を挙げた。
「それでは、よろしくお願いしますね」

「ベリー、もう少し右ですわよ、右」
「ひゃあ!」
「おしいもうちょっと。今度はそのまま真っ直ぐなのだ」
「きゃあああ!どうしてこっちばっかり狙わせるんですか」
「左前方45°・・・えぐる様に打ち込みなさい」
「もー騙されませんよ。えーいっ!」
ベリーは右に向かって棒を振り下ろした。
「痛っ」
「れ、れたすさん、ごめんなさいっ」
「本当に信じていたならば、大切な物を見失ったりはしないはず・・・」
「あの・・・すみません」
「貸しなさい。今度はあたしがやるわ」

「お姉さま、もう少し右ですわー
「違うのだ。そっちじゃなくて左側なのだ」
ざくろは、2人のナビに耳を貸さずに、真っ直ぐ棒を振り下ろした。
「お見事ー!でも、さっき言ったのと、やってる事が全然違うんですけど」
「一番大きい所は、歩鈴がいただくのだ!」
「そこはお姉さまの予約済みですわ!」
「みなさん、喧嘩はやめて下さい!ざくろさんも何か・・・って、もう食べてるしっ」
「こう言う場所で気取って食べてもおいしくないものよ」
「はあっ・・・スイカをかじる姿も素敵ですわ、ざくろお姉さま」
「お前達、そろそろ戻ってこい。メシの準備が出来てる」
白金に呼ばれ、ミュウミュウ達は赤坂さんの待つ別荘に戻った。

「どうぞ召し上がって下さい。カフェミュウミュウ出張サービスの特製バーベキューです」
「バーベキュー?・・・ヒッ!・・・めがねを」
「当て身!なのだ」
歩鈴は、れたすに突きをくらわした。
「歩鈴さん・・・そこ・・・みぞおちです」
「そうとも言うのだ」
「じゃなくって、そのものズバリ!危ないってばっ」
「でも効き目はあったのだ」
「結果オーライなだけですわ」
「いいってワケでもないんですけど」
『・・・おいで』
「おいってワケでも・・・って、え?なんか聞こえる」
『おいでミュウベリー。早く来ないと、そこら辺の砂のお城、全部壊しちゃうよ』
突然どこからか、かすかな声での脅迫が、ベリーの耳に飛び込んできた。
「みゃあああ、だめみゃああっ!」
ベリーは、あわてて声のする方へ駆けて行った。
『そっちじゃないっしょ、北だよ!どっち行ってんだよ!?』
ベリーはあわてて、声の指示する方角へ向き直して駆けて行った。
『あはははははっ、なんだよその方向。反対だってば』
ベリーはあわてて、声の指示する方向へ回れ右して走って行った。
「またみゃあ、目が回るううぅっ」

「できるだけ小さな声で呼んでみたのに来ちゃうなんて、ホントに耳がいいんだね」
「ぜえ、ぜえ・・・あなたは、えっと・・・ピンクボムだか、ラッキースターだか・・・」
彼女を呼んだのは、道化師の様な衣装に身を包んだ白塗りの少年だった。
「ハッピーチャイルド。ちゃんと覚えてて欲しいな、なんだか頭にきちゃった」
「頭にきたのはこっちの方なのだ。歩鈴たちはまだバーベキューの途中だったのだ」
「あ、あの、みなさん今でもかなり満喫していらっしゃるみたいなんですけど」
ベリーが振り返って見ると、ミュウミュウ達が串を両手にバーベキューを頬張り勢ぞろいしていた。
「仕方ないですわ、ここには椅子もテーブルもございませんもの」
「それって理由になるのかなあ」
「みんなで遊んでくれるんだ、ミュウベリーだけでも良かったのにね」
「あれだけ騒ぎまくっていれば、いやでも気になりますわ」
「はははっ・・・」
「腹ごしらえも済んだ事だし、みんな変身するのだ」
「あたしまだ食べてないしっ」
「戦いに来たんじゃないの・・・?」
「そうでした、ミュウミュウベリーメタモルフォーゼ!!」
ベリー達は全員、東京ミュウミュウへと変身した。
「本日は、店員一同はるばる海まで、出張スペシャルサービスでご奉仕するみゃ!」
「まあいいよ、笑わせてもらったし。じゃあこっちもスペシャルサービス・・・!!」
「ちょっと待ったあ!」
ミュウミュウ達の前に突然、彼女達とよく似た格好の黒い耳の少女が姿を現わした。
「このシルエットは・・・」
その少女は、フリフリの衣装を身にまとい、尻尾の先に鈴をリボンで結わえていた。


余計な事をやらせていたら、なぜかれたすイジメに。彼女のファンにはスマンです。
今回は露骨に次回へ引いてみました。ウチのページじゃ、ストーリーなんぞ、あって無きがごとし
なんですけどね。無理なディテールがあってもそのまま使っちゃいますし。
ウチのベリーちゃんは、変人達にひっかき回される(比較的)普通の人と言うスタンスなんで、役割
を取られる心配はないでしょうが、喋り方がかぶるかもなあ・・・。
とりあえず意図的にベリーちゃんの台詞には長音記号を多用して書いてますが、これは彼女のクセ
と言うより征海先生のクセの様な気がしますし。


8話

「ミュウタスク見参!ベリーの未来にご奉仕するぜ」
「たすく!?」
「かっこいいだろ。ミュウミュウになったんだぜ、おれ」
「タスマニアオオカミの遺伝子なのだ。強そうなのだ!」
「アマミノクロウサギとアンデスヤマネコ!衣装だってベリーとお揃いなんだぜ」
「目黒さんだから黒い服ですか」
「オセロですわね、まるで」
「で、どう言うつもりなの・・・?」
「実は昨日、ベリーのひいお婆ちゃんのマドモアゼルプリプリが枕元に立ってさ」
「それ絶対、口から出まかせっ」
「おれが来たからには、ベリーは何も心配しなくていいよ」
「えーい、いちいち抱きつくなっ!」
「このお方の頭の構造のほうが心配ですわ」
「話は終わったの?ボクまだなんにもしていないからつまんなくてさ」
「ベリーに何かあったら、おれはあんたを許さない!くらえ、ギタスクキャノン」
たすくは、ギター状の武器を腰ために構えると、敵めがけて弾を放った。
「うわあっ!・・・あれ?痛くない。なんだよ、これって輪ゴムじゃん」
「いやあ、本当に変身したワケじゃないからさ。気分だけでもと思って」
「何それ、大体そのネーミングかわいくないしっ」

「かわいさだったら、こちらにお任せするにゃん!」
突然ミュウミュウ達の前に、覆面をした2人組が姿を現わした。
「紅茶の国からボンジュール!キュートな怪盗きらめきウーマン1号参上!よろしくにゃん!」
「同じく2号もついでによろしく!なんてね」
「いちごのおねえちゃん、なにしてるのだ?」
「な、なんの事かな。あたしはいちごじゃないにゃん」
「青山さんまで一緒になって、どうしたんですか?」
「ぼくの名前は怪盗きらめきウーマン2号だよ。と言っても、こっちは男だけどね」
「あら、1号と2号が逆じゃありませんこと?ミュウイチゴ2号さん」
「何がミュウイチゴ2号よ!そんなモン、ベンゼンでこすったらキレイに落ちたわよ、ホラ」
いちごは、あっさり覆面を脱いで自分のおデコを見せびらかした。
「やっぱりいちごのおねえちゃんなのだ」
「あ、しまった!」
「相変わらずおバカさんですわね」
「えーい、バレたら仕方がない。いきなり行くよ、ミュウベリーロッド!」
「え、あたし?」
「じゃなくって、いちごのおねえちゃんの武器なのだ」
「あれを見なさい。武器が2つで2倍のパワー、いつもの2倍のジャンプ力で4倍のパワー、
そして、いつもの3倍の回転を加える事により最大12倍のパワーを発揮できるわ」
「それが、彼女が最強と呼ばれる所以なの」
「す、凄いんですねえ」
「そんなの無茶苦茶です!ベリーさんにウソを教えないでください」
いちごは2つの武器を合体させると、敵に向かって必殺技を放った。
「リボーンストロベリーサプ・・・にゃあぁぁっ」
だが途中で、彼女は突然猫の姿に化けてしまった。
『っとっと・・・着地成功、キャット空中三回転!にゃんちゃって』
「わあっ、かわいい!!・・・じゃなって一体どうなってるんですか?」
『能力がビミョーに退化したらしくって、変身しても三分しかもたないにゃー』
「ええええーっ!?なんかカップ麺みたいっ」
「カラータイマーはどこなのだ?ここか?」
「そんな事より、トイレと爪とぎの躾を先にしないといけませんよ」
「首輪も必要ですわね」

「ねえ、話は終わったの?ボクまだホントになんにもしていないからつまんないんだけど」
「そう言えばそうでしたわね」
「見せてもらおうじゃない、あなたの芸を」
「やっとボクと遊んでくれるんだ。随分待たされちゃったけど、はりきっていくよ!」
ハッピーチャイルドは大きく息を吸い込むと、上機嫌で歌い始めた。
「今あなたの声が聞こえ〜る、ここへおいでと〜♪」
「みゃあ〜っ」
「昨日ま〜で♪・・・耳が大きいから、音波攻撃がよく効くねえ」
「じゃなくって、音痴なだけなのだ」
「聞くに堪えませんわ」
『頭の中が、くわんくわん言ってるにゃあ』
「ええっ、たくわんが嫌いなの?」
「なかなかやるじゃない・・・」
「ざくろさん、これって芸なんですか?」
ハッピーチャイルドの攻撃に耐えきれず、ミュウミュウ達は全員その場にうずくまった。

「いちごを傷つける者は許さない・・・」
いちごのピンチに、青山くんは蒼の騎士に変身し立ち上がった。
「わあ、めっちゃ頼もしそうっ」
しかし彼もまた、大きな耳を押さえてその場にうずくまってしまった。
「僕にはもう、ディープブルーだった頃の様な力は残っていない」
「ダメじゃんっ!」
「だったら、音には音で対抗だ!れっつごー、突き抜けようぜ〜♪」
たすくはギターをかき鳴らし、大声で歌い始めた。
「わあ、こっちもものすごく下手くそなのだ。歌うのをやめるのだ!」
「おれの歌を聞けば〜簡単な事さ〜♪」
「歌うのをやめて下さいと言っているのが聞こえないんですか!」
「みゃあああ、耳が腐るううぅっ」
『こうなったら・・・合体、ダブルベリー!!』
いちごは猫の姿のままで、ベリーの胸周りにまとわりついた。
「それが、どうしたんだよ?」

「あはははははっ、なんだよそのカッコ」
あまりにバカバカしい格好を見て、ハッピーチャイルドは腹を抱えて転げ回った。
『今のうちに、どっちか片一方だけでも何とかするにゃ!』
「わかったみゅ、リボーンラブベリーチェック!」
「よっ」
「あはは・・・え?・・・うわあああ!!」
ベリーの必殺技は、ハッピーチャイルドに命中した。
「まあいいよ笑わせてもらったし・・・またね!!」
ハッピーチャイルドは、捨て台詞を残して退散した。
「思い知ったか!ベリーの幼なじみをなめんなよ」
残ったたすくは、高らかに勝ちどきをあげた。
「ジャマしに来ただけじゃん、調子に乗んなあっ!」


えっと、ネコのいちごちゃんの台詞は、一応ベリーちゃんにしか解からないハズです。
まずはなかよしの感想から。いちごちゃんの性急な復帰にも、ちゃんと理由があったんですね。
さすがは気配りの男、青山くんです。ギャグに見せかけて伏線をねじ込むとはやりやがります。
ウチのコンテンツじゃ真面目に留学とかしてたワケじゃないんで、いちごちゃんと一緒に戻って
きちゃいましたが、まあ、あまり活躍する事はないと思います。


9話

「ただいまー赤坂さん、あとついでに白金も!」
仲間と共に白金の別荘に帰還したいちごは、遠慮知らずに元気よくドアを開いた。
「お帰りなさい、いちごさん」
「なんだ、生きていたのか」
「なんだはないでしょ。宇宙は寒いわ、エイリアンの星に落っこちる時は熱いわで、そりゃもう
大変だったんだから!」
「やっぱりアツアツだったのだ」
「アツアツじゃなくって、熱かったの!」
「ところで青山さん、向こうの星での生活は楽しかったですか?」
「うん、みんないい人達ばかりでね、とても熱心に環境の改善に取り組んでくれたよ」
「それはよかったですね」
「それに引きかえこの星の住人どもは、あいも変わらず環境には無関心で・・・」
「それは、その・・・」
「ゴミは散らかす、河は汚す、一体我の警告を何だと思っているのだ、愚かな人間どもは!」
「え・・・ちょっと、青山さん?」
「・・・なんてね。冗談だよ、冗談」
「なんか性格変わってませんか?」
「最近たまーにこうなるんだけど、でもぉ、ワイルドな青山くんもかっこいいかもーなんて」
「はいはい、ごちそうさまですわ」
「ま、それはともかく、東京に帰ったら早速お前にも働いてもらう。いいな」
「うえー、やっぱりー?」
「しょうがないだろ。最近、キメラアニマどころか、ヘンな奴らまでウロチョロしてんだから」
「文字通り、ネコの手も借りたいほど忙しいのだ」
「そこまで言われちゃ仕方ないかな、えへへ」
「あのっ、もしかして気づいてないんじゃ・・・」
「ホント、単純ですわ」

「やほうっ、この制服着るのも久し振り・・・あれ?チャックが・・・ん〜」
数日後、カフェに出勤したいちごは、心なし縮んだ気がする制服相手に悪戦苦闘していた。
「太ったんじゃないの・・・?」
「ずん胴がさらにずん胴になったのだ」
「飛ばされた先で色々食べ過ぎるからですわ」
「そんな事ないってば。そりゃあ、アイスとかスコーンとかおいしい物は一杯あったけどさあ」
「スコーンの本場ですものね」
「そうそう、ジャム乗せて食べんだけどさ、これがまた甘々で・・・」
「って、お菓子の話してるんじゃなかった。もうちょっとなんだけど・・・ん〜っ」
「あ、あたし手伝いますっ」
「いやー、ベリー助かるよ」
ベリーはいちごの背中に回ると、勢いよくチャックを引き上げた。
「おわっ!・・・ったぁ!肉はさんでるってば、肉!」

「いちごさん、さっきはすみませんでしたっ」
「いいって、別に気にしてないから。それより、ここのバイトにはもう慣れた?」
「はい、もうすっかり」
「解からない事があったら何でもどんどん、この桃宮いちご先輩に聞いてちょうだいね」
「はあ・・・ありがとうございますデス」
「ところでベリー。あたしがいない間に、あの人達に何かヘンな事されなかった?」
「えっと・・・まあ色々と」
「特にみんとって人には気をつけなさいよ。地獄に巣くう悪魔の化身、みんとウィングは空を飛び、
みんとイヤーは地獄耳、みんとアローは超音波なんだから!」
「いちご、誰が地獄耳ですって?」
「ホラ、早速きたよ」
「何がホラだか。身振り手振り付きでオーバーに騒げば誰にだって聞こえますわ」
「オーバーって何よ、オーバーって。ホントの事言っただけじゃないの!」
「まあ、大きな声を出して、人聞きの悪い」
「おいお前達、サボってないで仕事しろ」
「あ、はいっ、すみません」
「では、そのタルトとお茶を五番テーブルにお願いいたします」
「はっ、はーいっ」
「五番テーブル了解っと」
赤坂さんからベリーが受けた注文は、突然横から伸びた手にかっさらわれた。

「たすく!どうしてここに?」
「今日から働いてもらう事にしたんだ」
「我々の秘密を知っているとか何とかしつこいものでしたので」
「で、でも迷惑なんじゃ・・・」
「そうだ。全くもって迷惑極りないな」
「そんな事ないぜ。ほら・・・な」
侑は、トレイを手にしたままで店内を高速移動してみせた。
「ローラーブレードかっこいいのだ」
「よくないっ!お茶が飛び散ってるし」
「便利でいいじゃん」
「ああっ、今度はタルトが床に!」
「気にしない、気にしない」
「気になるってばっ」
「嬉しいよベリー、おれの事を気にしてくれるなんて」
「たすくじゃなくって、タルトの方っ!」
「なーんだ、そっかあ」
「全然こたえてないじゃん」
「筋金入りの天然ですわね」
「そこまでハッキリ言わなくても・・・。聞こえたらどうするんですか」
侑は、突然立ち止まると皆の方を凝視し始めた。
「なんか顔が真剣なのだ」
「あ、怒った?ゴメン、ゴメン」
侑は、なおも真顔のままで黙秘を続けた。
「どうした、言いたい事があるなら早く言ってくれ」

「ベリー、デートしよ」
「へ?ちょっと、いきなり何言ってるのよ」
「さすがはベリーの“彼氏”ね・・・」
「ちっ、違いますーっ、彼氏なんかじゃあ・・・」
「そうですね、今は女の子でしたっけ」
「うんうんっ」
「だったら、“彼氏”じゃなくって“彼女”ですわね」
「えっ?」
「テレるなよ、ベリー」
「あーっ、肩に手を回したのだ。ラブラブなのだー」
「そうか。それじゃあお前達、今からデートに行ってこい」
「そうと決まればゴー!!」
「ええ〜っ!?」
ベリーは、たすくに強引に店の外へ連れ出された。
「ったく、はた迷惑にもほどがあるぜ」
「ベリー、侑をよろしく頼むわ・・・」
「ああ、貴重な労働力がぁ」


とりあえず、いちごちゃんにはチョーシに乗って先輩面してもらいました。本人、ミュウミュウの
リーダーに返り咲いたつもりでいます。
侑の方は、今自分が女である事の自覚が全くありません。まあ本物の方も、もし女の子になったと
してもあんまり気にしないだろうと思いますが。ただ、こっちの侑は、ベリーに抱きつく事第一主義
なんで、その意味合いには大きな隔たりがありますけど。


10話

「あけましておめでとうなのだ。今年の干支はライオン、歩鈴が主役の年なのだ」
「わーっ!歩鈴さん、今はまだ2003年の夏のお話です!」
「え、そうだったのか?」
「そうですよ。みんなで海に行ってから数日しか経っていないんです」
「ボケーッと様子見なんかしていると、こういう事になるんですわ」
「いいじゃない、スイカの季節が終わるにはまだ早過ぎるもの」
「ちょっと、みんなぁー。サボってないでいいかげんこっちを手伝ってよぉ」
「よーし、それでは歩鈴が最新モードのスーパー獅子舞を披露するのだ」
「ああっ!それ、おととしの福引きのじゃん」
「今は2003年!」

「2003年夏、人々は溶けかかったアスファルトに己が足跡を刻印しつつ歩いていた。ひどく暑い」
「カフェから遊園地までノンストップで走ってれば当たり前・・・って言うか走らすなっ!」
「あーっ、なんかおれ、喉が渇いた!よしッ、なんかアイスでもかってきてやろう!!」
侑は突然一方的に宣言すると、自販機の方へ走り去った。
「ハァ・・・なんでこんなのと幼なじみなんだろう」
しばらくすると、彼・・・彼女は両手にいっぱいのアイスの山を抱えて戻ってきた。
「はい、ベリーにこれあげるよ」
「おー、すげー、たすく。でもいいの?それにこんなに食べられないし」
「なんとかなるっしょ。ベリーは何も心配しなくていいよ」
「そんなのたすくに解るわけないじゃんっ」
「大丈夫だよ。ベリーの事なら、テストの点数から今まで食べたパンの枚数まで何でも知ってるからさ」
「絶対ありえない〜っ!!」
「お、UFOキャッチャーだ。よしッ、今度はぬいぐるみを取ってきてやろう!!」
侑は一方的に宣言するとUFOキャッチャーめがけて突進して行った。
「少しは人の話を聞け〜っ!・・・え?」
「秘技!!UFOキャッチャーわしづかみ☆」
侑は筐体のガラスを正拳突きでブチ抜くと、ぬいぐるみを3個一辺わしづかみにした。
「ぎゃーっ、それ犯罪っ!」
「はい、ベリーにこれあげるよ」
「もらえるか、そんなのっ!見つかったらどーすんのよ」
「あ、店のオヤジが出てきた。逃げるよ、ベリー」
「ええっ、あやまるんじゃないの!?」
「おれがベリーを置いて逃げらんないっしょ」
侑は、強引にベリーの手を引いてその場から逃走した。
「話が噛み合ってないっ!それになんであたし、たすくと一緒に逃げてんの〜っ」

「全く、なんでこのくそ暑い中で着ぐるみなんぞに入って風船を配らねばならんのだ」
都内某遊園地、聖薔薇騎士団のメンバー達は、世界征服のための資金作りのバイトにいそしんでいた。
「お前はカニだからまだいい。僕なんかエビだぞ、エビ」
「この調子では、公爵の望みを我らの手で叶えられるのはいつになる事やら」
「風船もあんまハケないしね。なんかもう退屈でしょうがないよ」
「こんな非効率的な事をせねばならんのは、大人が作った世界が歪んでいるせいだ」
「あ、あれは・・・いかん、みんな隠れろ!」
ロイヤルハイネスの合図で、聖薔薇騎士団たちは一斉に物陰に隠れた。

「ぜぇぜぇ・・・いきなり筐体に正拳突きくらわすかな?フツー」
「あーやばかったあ、もう少しで善良な一般都民としての一線を越えてしまう所だった」
「越えてから言うなっ!」
「あ、あんな所に観覧車が。今度はあれに乗ろうよベリー」
「さも今気付いたみたいにっ・・・それから、人の話を聞けえっ!」

「白いミュウミュウか・・・よりによって一番見られたくない奴が」
「邪魔だな」
「ああ、我らの野望にとって、とても邪魔だ」
「なら遠ざければよい。ここはこの僕、ロイヤルハイネスに任せてもらおうか」
「おー、やる気だね」
しかし、その口調とは裏腹にロイヤルハイネスはしばらく動く気配を見せようとしなかった。
「・・・ところで、このエビを脱ぐのを手伝ってはくれないか。ハサミがどうにも邪魔なものでね」

「ああ、やっと座れたよ、やれやれ」
「すげー!見ろよベリー。人がどんどん小さくなってくぜ」
「まあ景色を見ているうちはおとなしく・・・あれ、たすく?」
一息ついたのもつかの間、ふと気付くとたすくはベリーの視界から消えていた。
「やっほーベリー」
たすくは突然、ベリーの背後の窓から姿を現わした。
「危ないマネすんなあ!って言うか、どうやって外に出たぁっ!」
「こまかいこと、気にしない・・・ありゃ?」
やはりと言うか、ベリーと侑を乗せた観覧車は運転を中止した。
「言わんこっちゃない、絶対たすくのせいだからねっ」
「そっかなあ」
「とぼけてもダメっ!」
「だってさあ、観覧車だけじゃなくって遊園地全体の乗り物が止まってるんだぜ」
「ええっ?たすくごときでオーバーなっ」
ベリーが侑にこだわっているその時、巨大な怪獣を連れた一人の男が姿を現わした。
「僕の名はロイヤルハイネス。キミ達を恐怖の世界へといざないに来た」
「あれは、いつぞやの変態さんっ!」
『メタモルフォーゼだ、ミュウベリー!』
「白金さん、なんかめっちゃ反応が早いんですけどっ」
『みんなが閉じ込められたままじゃ困るんじゃないのか』
「あ、そうだった」
『じゃ、やる事は決まりだな』
「行くぜ、お嬢ちゃん」
「合点でいっ、ミュウミュウベリーメタモルフォーゼ!」


ひさかたぶりのミュウミュウです。なんかたすくが美味しい動きしてんなあとか、ブルーバユーは
いつ活躍するのかなあとか思いながら眺めていたら、なんと連載が終わってしまいました。
決して悪い内容ではなかったし、編集部も鬼ではないと思うのですが、なんとも厳しい世界ですねえ。
まあこちらは今まで通りにお気楽極楽気まぐれにやっていこうと思います。


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