超獣戦隊ライブマン11話〜21話


11話   「頭脳獣を噛んだ男」


あらすじ

チンピラ達が集うディスコに頭脳獣ヒヒヅノーが出現、襲われたチンピラの一人はニューマフィ
アのボス、毒島嵐の隠れ家に逃げ込むが、嵐の目前で猿人に変わってしまう。
ヒヒヅノーには武装頭脳軍ボルトの幹部ドクターオブラーにより、人間を猿人に変える能力が
与えられており、襲われた猿人もまた他の人間を襲う事により猿人を増殖させる能力を持って
いるのである。

ヒヒヅノーと闘うライブマンだが、かつてない強敵に苦戦、全滅寸前の所を割って入ってきた
嵐に救われる形となる。
腕力一つで暗黒街の大物にのし上がってきた嵐は、なんと力ずくでヒヒヅノーを調伏。勇介
たちは彼にボルトの頭脳獣へ関わる事の危険性を忠告するが、耳を貸されず、むしろ科学
アカデミア出身者ら天才への嫉妬を露わに向けられてしまう。

ヒヒヅノー及び猿人たちを従えた嵐は意気揚々と銀行強盗を行ない始める。
頭脳獣を負かす人間の出現に動揺するボルトの面々。事態を収拾すべくオブラーが地上へ
向かい、嵐を追跡した勇介が戦っている最中に、ヒヒヅノーらの支配権を奪取する。

だがしかし圧倒的劣勢に立たされたにも拘らず闘志を失わない嵐の姿を見て、大教授ビアス
はガードノイドガッシュに出動を命じる。
到着したガッシュが力ずくで嵐を制止し、局面はライブマン達とヒヒヅノーらとの戦闘に移る。
猿人らにも苦戦を強いられるライブマンだが、レッドファルコンが奮起する事により、ファルコン
ストライクからの必殺武器で勝利を収める。

あしらわれた屈辱に怒り狂う嵐をガッシュが連れ去って行き、以下、次回へと続く。


総論

ドクターアシュラ誕生の前編。この回、嵐は腕力だけの馬鹿な男として描写されています。
彼は7+6など両手の指で数え切れない計算を行なう事が出来ないほどの大馬鹿なのですが、
本当の問題はそう言う所ではなく、天才へのコンプレックスのあまり、冷静に人の話を聞いたり
戦況を見極めたりする事の出来なくなる、思考回路の単純さにあります。
ある意味、ムダにプライドが高い男です(あきらめないと言う所は長所でもあるのですが)。


見所

・とにかく強いヒヒヅノー。

ライブマンの武器をことごとく跳ね返し、それまで数々のピンチを救ってきた最強武器ドルフィン
アローですら逆に相手に投げ返してしまいます。勇介は「さすがドルフィンアローは効くぜ!」
なんて軽口叩いてましたがホントはそれどころじゃないほどの大ピンチでした。
当然これは嵐の強さを引き立たせるための演出なのですが、おかげでその後に勇介がかます
忠告が説得力ゼロなのが何だかなあ、と言った感じです。これも多分演出のウチなのですが。

・「ねかをだせ」

銀行強盗をする際、猿人たちは喋れないので、要求を一文字ずつ書いた紙を持って並びます。
順番間違えてるんで、この後ヒヒヅノーにどやされるのですが。
珍しくケンプとマゼンダも一目置いていたハズのこの作戦、オブラーいわく、人間の染色体の
一部を止めるのが猿人化の原理なのですが、どうやら言語能力その他が著しく退化する模様、
こんなのを支配した所で一体何が面白かったのでしょうか。
 


12話   「超天才アシュラ!」


あらすじ

ヅノーベースにて、連れ去った嵐に勉強を教え込む大教授ビアス。その不可解な行動に、
ドクターケンプ達は首をかしげる。

それからしばらくして、世界的に著名な学者が次々と誘拐される事件が起きる。
学者達の行方を追った勇介たちは、嵐が自らのの天才を試すために、学者達を相手にして
命をかけたテストで勝負している現場に遭遇する。

ビアスの教育と天才改造を受け学者達を圧倒するほどの知識を得た嵐はドクターアシュラと
名乗り、ライブマン達との戦闘を開始、圧倒的戦力でライブマン達を蹴散らした彼は、頭脳獣
テストヅノーを連れて意気揚々と、またもや銀行強盗を行ない始める。
その様子を見た勇介は、アシュラが嵐としての弱点を克服していないと判断、科学アカデミア
の制服を着て彼を挑発し、再戦を挑む。

天才に対するコンプレックスを突かれ逆上したアシュラは、冷静さを欠いて自滅。テストヅノー
はライブマン達の戦法を研究して善戦するも、イエローライオンのパターン破りな戦法 に対処
しきれずに倒される。

自滅はしたものの再び這い上がってくるタフなアシュラの姿に、ケンプ達は対抗心を燃やす。
その背後で、大教授ビアスは満足げにほくそ笑むのであった。


総論

ドクターアシュラ誕生の後編。ビアスは最初、嵐に半強制的に足し算を教えます。力ずくでは
ありながらも決して紳士的な態度は崩さずに。やがて調子が出てくると「君は勉強を知らなか
っただけの事、本当は天才なのだ」とうそぶき誘惑。すっかりその気になった嵐は、眠ってい
た才能が目覚めたとばかりに嬉々としてスキルアップに励みます。学者達を犠牲にして。

もっとも、ドクターアシュラになっても以前と行動パターンが全く変わらない事から解るように
馬鹿はスキルを得た所でも、やっぱり馬鹿なまんまなのですが。
「我が道に敵なし!我が才能に及ぶ者なし」と、高飛車なまでにうそぶくサマが実に滑稽です。
踊らされているのが丸解りなだけに。


見所

・命をかけたテスト

と言っても、罰を与えるのはテストヅノーの役目なので自作自演に近い気がしますが。
劇中、少なくとも2名の学者が亡くなっているにもかかわらず、その形式はどう見てもクイズ
番組のソレ。裸電球がピカピカ灯るチープな解答席に、これまたチープなブザー音。しまい
にゃ「最後に(ありがとうは)大阪弁では(何と言う)?」なんて冗談まで飛び出す始末。
徹底した茶化し具合が、かえって事の残酷さを引き立たせており、うすら寒さを覚えさせます。
言うまでもなく、寒いのはアシュラ達の方です。
・アシュラがライブマン達を圧倒する様を、モニターでケンプ達に見せ付けるビアス

いわく「ドクターアシュラはお前達以上の天才にして、お前達以上に強く、そして誰よりも凶悪。
まさに私の求めていた無敵の天才となったのだ!」
彼は不自然なまでにアシュラに肩入れする事により、ケンプ達の競争心・・・厳密には嫉妬を
煽る事に成功しています。
ビアスの恐ろしさは、その科学力よりも人の弱みにつけ込む手腕の狡猾さの方にあります。
非常に強力なカリスマ性を発揮する反面、自ずと限界も生じるのですが。
 


13話   「燃えよ鋼鉄コロン」


あらすじ

武装頭脳軍ボルトのドクターマゼンダは、何のへんてつもないテニスクラブに見せかけた
アジトの地下で、頭脳獣ドクガスヅノーに毒ガスを作らせていた。
毒ガスを固形化した物をダミーマン(戦闘兵ジンマー)を使って地上にバラ撒き、ドクガス
ヅノーの指令電波で一斉に気化させる事で大量殺人を実行しようというのである。

作業中のアクシデントから回路がおかしくなったダミーマン1体がアジトから脱走、ドクガス
ヅノー達に追われていた所を、めぐみとコロンに助けられる。
助けられた青年(ダミーマン)はタナカと名乗り、ひと目惚れしたコロンを追い掛け回す。

2人がそうしている所へドクターマゼンダが出現、彼女のエルボーガンからコロンをかばった
タナカは負傷しメカが露出、ロボットである事をコロン達に知られる。

めぐみは先の戦闘からマゼンダの企てを推測、アジトの所在を探るために、ジンマーである
ミスタータナカに協力を求める。
回路の故障で記憶の定かでないタナカを、コロンがバイクに乗せて同行。テニスクラブの
カモフラージュに騙されかけるも、見事にアジトを突き止める。

戦闘に入るも、苦戦し窮地に立たされるライブマンとコロン達。ドクガスヅノーの体当たりが
迫って来た時、ミスタータナカが体をはって攻撃を食い止めた。
瀕死の重傷を負ったタナカは、コロンとの愛を確認すると爆発四散。ダメージを受けた
ドクガスヅノーは、ライブマン達に難なく倒される。

落ち込むコロンをなぐさめ、冗談も交えて励ます勇介達。
絆を深めた彼らは、これからもコロンと共に戦っていく事を誓い合うのであった。


総論

コロンのプロモーションビデオ・・・今ならそのまんま萌え話と言った所でしょうか。
いささか急ぎ足な展開ではありましたが、かなりの力が入った良作でした。
まだ故障前のタナカ氏、つまりジンマーが転ぶ際、「ああ〜」と声をあげている所からすると
ジンマーにも人格が備わっていると見てよさそうです。おそらくはマゼンダが与えた、かなり
おそまつなシロモノでしょうけれども。

回路の故障が原因とは言え、タナカ氏はジンマーにしておくのが惜しいぐらいに誠実な人物
でした。常にコロンの事を気にかけ、極力笑顔を絶やさずにいて・・・最期はジンマーの顔
でしたので、笑ってるのかどうかもよく判らなかったのですが。
それだけに、攻撃を受けるたびに人間体を維持できずボロボロになっていくサマは痛々しく、
思わず涙を誘われます。本当に惜しい人を亡くしました。
体同様、段階を踏んでキャラクターが壊れていくサマも、これまた見事でした。
コロンにプロポーズをするためにタナカと言う名前をでっちあげれば、その上にミスターと言う
不釣り合いな敬称を乗せられ、アジトを発見した時に「ピンポーン」と言ってしまったばかりに
いまわの際に「ピンポーン」を連呼され・・・半壊したジンマーの顔のフタがプランプランしてる
のに気をとられて、見てる方はそれどころではなかったのですが。
よく出来た悲劇は喜劇にも見えると言うヤツでしょうか。


見所

・「昨日や今日、にわか天才となった者とは違います」

ビアスに誉められた際、マゼンダは早速アシュラを挑発します。逆上したアシュラは、ケンプ
の制止を聞かずマゼンダに切りかかろうとするのですが、ビアス様には逆らえずにピタリ。
ギクシャクしつつも統率はとれているボルトの人間関係が垣間見れて面白いです。

・序盤、ハリキって戦闘に参加しようとするコロンに、頭をかかえるブルードルフィン

アシュラの登場で手強くなったボルトに対抗してるつもりなのですが、寝ている勇介たちを
基地においてけぼりにしてます。コロンが戦闘に参加する事自体は初めてではないのですが
本末転倒な勇み足には、結果的に助けられたとは言え、思わずアチャー。
余談ですが、この後で勇介たちが歯を磨いているシーンがある事から、早朝の出来事である
のが確認できます。

・タナカ氏を攻撃するマゼンダ

1回目は、いちゃついている所をコロンもろとも「見せつけてくれるじゃないの」と、さも面白く
なさげに。2回目は、これまたコロンといちゃついてる所で直接タナカの方を。しかも作戦を
わざわざ中断してまで。どうやら彼女は自分よりうらやましく見える相手が許せない性分の
様に思えます。

・「じゃあ、わたしが好きだって言うのも、ただ回路がおかしかったからなのね」

タナカ氏の回路の不具合が発見された後、猜疑心に陥るコロン。元のダミーマンにも一応の
人格が備わっていると思われますので、なおさらどこまでが本当の事なのかは正直判断に
苦しむ所です。そんな彼女に、めぐみはタナカ氏の行動を見ろと言う内容の助言を出します。
この他、アジトの場所が思い出せないタナカ氏を、いらだちから「ポンコツ!」となじる丈を
いさめたりと、今回(に限った事ではないのですが)、めぐみはなかなかの気遣いを見せて
くれます。

・「ザマを見ろー!」

ミスタータナカの死に泣き崩れるコロンに対して、ドクガスヅノーが言い放った一言。
あまりにも知能指数が低いツッコミですが、笑わせていただきました。
 


16話   「必殺!死神ガッシュ」


あらすじ

ロボット工学西東京研究所にてテスト中の、自己判断能力をもつバトルロボS−1をガードノイド
ガッシュが襲撃する。ロボットは脱走し、丈が運転していた車の前に飛び出しはねられる。
丈はロボットを基地に連れ帰り修理し、それが元で彼はロボットになつかれる事になる。

ロボットの動力源には、無限のエネルギーを生み出すメタフォース鉱石が使われており、ビアス
はそれを手に入れる事を所望していた。我先にと名乗りをあげる、アシュラらボルトの幹部達を
一喝すると、ビアスは失敗続きの彼らではなく、ガッシュに再び出動の命令を下す。

丈はロボットにハナコと言う名前をつけ可愛がり、後楽園遊園地でたわむれる。その姿を見て
勇介とめぐみはあきれ顔になる。
そこへガッシュが頭脳獣ファイヤーヅノーと共に現われ、ハナコをめぐってライブマン達と戦闘
を繰り広げる。

何とかガッシュをしのいだ丈は、いつの間にかハナコが姿を消している事に気付く。彼女は
丈たちを巻き込むまいと判断し、単独行動を行なっていたのである。
カッコつけすぎの彼女を丈が救出に向かい、逃避行の中、不意を突いてガッシュにそれなりの
ダメージを与える事に成功する。
なおも死神の様に追ってくるガッシュに対し、丈は超大型ダンプに乗り決着を付けようとするが
失敗、駆けつけた勇介たちのフォローもファイヤーヅノーに阻まれ、絶体絶命のピンチに晒さ
れる。

丈のピンチをすくうため、ハナコはガッシュへの体当たりを敢行、体内のメタフォース鉱石と共に
木っ端微塵となる。
ハナコを救えなかった不甲斐なさから自暴自棄になったイエローの攻撃と、必殺バイモーション
バスターでファイヤーヅノーを倒したライブマン達は、ハナコが身を持って示した勇気の事を深く
胸に刻み込むのであった。


総論

ガッシュのプロモーションビデオ・・・話の筋は、ほとんど13話と同じなのですが、ターミネーター
さながらのタフさと執拗さで獲物をつけ狙うその姿は、観る者にかなりの威圧感を与えます。
特に注目したいのは、中盤でのイエローライオンとの戦闘シーン。イエローの突撃を片手で
いなし、ライオンパンチ、ライブラスターとのパンチ及び早撃ち合戦に勝利するなど、圧倒的な
戦闘力を見せつけてくれます。
レッドとブルーに銃を弾き飛ばされたスキに、彼らを取り逃がしてしまうのですが、そんな状況
の時でも銃が地面に落ちる前にキャッチして体勢を立て直すなど、一筋縄ではいかない相手
である事が雄弁に物語られています。


見所

・ドクターアシュラらを一喝するビアス様

いわく、「あぁ(ため息)、お前達の今までの失敗の数々・・・私はお前達に失望している。」
だそうですが、手元の不完全な資料から判断する限りでは、ヅノーベースに何かを持ってこさ
せる時は必ずガッシュを使っている様な気がするのですが。

・ガッシュに追われている最中、あまり武器を使おうとしないハナコ

それなりの戦闘力を持っているにもかかわらず、この様な行動をとるのは、おそらく彼女は
丈の前では戦闘ロボとしては振る舞いたくなかったからではないかと思われます。
最初、「物騒なロボット」として勇介やめぐみに警戒されてましたから。

・片腕を失いつつもギガファントムを放つガッシュ

無限のエネルギーの爆発とぶつかっても、片腕1本で済んでしまう頑丈さが、まず凄いです。
こんな時でも、いつも通りに職務を全うする勤勉さにも頭が下がります。真面目で、頼り甲斐が
あって、給仕もこなせる、彼は間違いなくビアスが作り出した最高傑作でした。
 


19話   「ガリ勉坊やオブラー」


あらすじ

悪の大教授ビアスは、甘い計画しか立てられないケンプ達を激しく叱咤していた。
ドクターオブラーは自らの体を媒体とし、分身とも呼べる頭脳獣ベンキョウヅノーを作り出す。

勇介たちは、塾帰りの少年と知り合い、彼らと野球をして楽しんでいたが、途中から少年達の
様子がおかしい事に気付く。遊戯中まで教科書を離さない態度に苦笑していたが、よく聞くと
少年達はビアスを称える内容の本を朗読しているのである。
その本はベンキョウヅノーが背負ったランドセルから少年達の手に貼り付けたボルトバイブル
であり、読み終わらない限り手から離す事が出来ない仕組になっていた。

町じゅうの人々にボルトバイブルを持たせたベンキョウヅノーは遊園地に出現、彼の大嫌いな
遊んでるヤツらをターゲットにしようとした所で、駆けつけたライブマン達と戦闘になる。
オブラーの助力で、ベンキョウヅノーは戦闘を優位に進めていたが、奮起したレッドの攻撃に
飛ばされたはずみで、稼動中のジェットコースターに搭乗してしまう。
初めての経験に狼狽するベンキョウヅノーだったが、いつの間にか彼はあちこちの遊具を乗り
回し、ついには戦闘を放棄して楽しそうにスキップなんぞを踏む体たらくを晒してしまう。

遊園地の外に出たベンキョウヅノーは、少年達のラグビーに混ざろうとする。少年達は蜘蛛の
子を散らす様に逃げていったが、彼はおかまいなしにボールと戯れ始めた。
オブラーの叱咤にも耳を貸さずに遊びほうけるベンキョウヅノーの姿を見て、勇介はオブラー
こと尾村豪の生い立ちを推測する。図星を指されたオブラーは逆上し、ベンキョウヅノーに彼が
脱ぎ捨てたランドセルを投げつけ激を飛ばす。

その時、オブラーの体に異変が起き、彼は元の姿である尾村豪に戻ってしまう。
丈は、友との再開に喜び抱きかかえるが、豪は眉をハの字にしかめ彼を拒否する。
豪にとっては、丈たちの事よりもボルトの一員である事の方が大事なのである。

好機とばかりに豪を嘲笑しに現われたドクターアシュラは、圧倒的な戦力差でライブマン達を
蹴散らすと、ベンキョウヅノーに根性を入れ始める。
突然そこへ正体不明の謎の敵が現われると、アシュラ達を吹き飛ばし、豪の体をオブラーに
戻して、ベンキョウヅノーに根性を入れ直すと、なぜかそのまま去っていった。

見境なく攻撃を乱射するベンキョウヅノーに対し、ライブマンはイエローが盾になる戦法を決行、
ファルコンブレイクから必殺武器の連携で勝利をおさめる。
勇介たちはオブラーの運命の行く末に想いをはせると共に、謎の敵の出現に不吉な予感を
覚えるのだった。


総論

一足お先にクライマックス。ボルトの連中は、いわゆる勉強のし過ぎで頭のおかしくなった人達
なのですが、今回の話はその一因である受験戦争について、これ以上ない程ミもフタもなく批判
をかましちゃってます。
受験戦争の恐ろしさは、「いい大学に入る事こそが至上の喜び」という価値観を植え付けてしま
う事にあります。今時、そんな戯言を信じているおめでたい人はいないとは思いますが。
テストの問題を解くだけなら、意志のないコンピューターでも出来る事です。そんな能力は実の所
大して役に立ちません。よく言えば宝の持ち腐れ、悪く言えばムダな努力と言うヤツです。
そんな事に労力を割くのはもったいないんじゃねえか?ってのが、この番組の掲げたテーマに
含まれていると思うのですが。

今回の話は、勇介の主張がいささか類型的だったり、展開の方も結論を急ぎ過ぎたりしている
きらいがありますけれど、それはたぶんスタッフの方の照れ隠しだったりするのでしょう。


見所

・「今日も勉強、明日も勉強」(球拾いから帰ってきたら様子のおかしくなった子供達)

抑揚のまるで感じられない朗読が、まるで何かの呪文の様な不気味さを醸し出しています。
ちなみにボルトバイブルの内容は、「おろかな人間に生きる資格なし」、「この世は天才だけの
もの」、「天才の中の天才は大教授ビアス」、「この世を治めるのは大教授ビアス様」と言うモノ。
前提条件さえ間違ってなければ、素晴らしい三段論法ですね。

・「ハハハ!これぞベンキョウヅノーの洗脳教育。わかったか、ベンキョウヅノーの恐ろしさ!」

遊園地にてオブラーは登場する際、パラシュートの様な遊具(スカイフラワーかな?)に乗って
いたりします。お前、おもいっきり遊んどるやないか!と言うツッコミはさておき、彼の切り札で
あるこの作戦が、ビアス様が自分達にやってる事そのまんまなのが興味深いです。
後の話で明らかにされるのですが、彼はこの時点ですでにビアスの目的を知っています。
自分の(特に肉体的な)無力さに強いコンプレックスを持ち、おそらく勉強以外に取り得のない
彼は、ボルトの価値観が支配する世界を作り上げるために、それでもビアス様にすがって行く
しかないのでしょう。って言うか、文字通りすがってます。冒頭の叱咤されるシーンでハッキリと。

・「貴様らにも教えてやる、ライブマンは手強いという事をな!」

上記のオブラーに対するレッドファルコンの返答がコレなのですが、ベンキョウヅノーとの同時
攻撃をくらって、あっさり昏倒してしまいます。いつもながら弱いなあ。

・稼動中のジェットコースター

近くでライブマン達が戦闘しているにもかかわらず、普通に客を乗せて運行していました。
場所が場所なだけに、アトラクションだとでも思われていたのでしょうか。

・「ちくしょう!とうとう俺のパワーも尽きてしまったのか!」

豪が元に戻った原因について、てっきりベンキョウヅノーを作ってしまった事と関係あるのかと
思っていたのですが、この台詞から判断するに、どうもオブラーの能力は元々タイムリミット付き
だった様にも思われます。
 


20話   「落第オブラーの逆襲!」


あらすじ

命を賭けた作戦に失敗したドクターオブラーを、大教授ビアスは突然目の前で破門にする。
その頃頭脳獣サイセイヅノーと戦っていたライブマン達は、サイセイヅノーの、倒された戦闘兵
ジンマーを破片から再生増殖し、自らをも再生パワーで復活させる能力に苦しめられていた。
必殺バイモーションバスターを放つライブマンだが、前回登場した謎の戦士が持つ十字架剣から
出る不思議なパワーによって、攻撃を阻止されてしまう。
万事休すと思われたその時、コロンがランドライオンを駆って現われ、ライブマン達を救出する。

謎の戦士の正体は、ギルド星人ギルドス。彼はビアスのウワサを聞きつけ、宇宙からやって
来た天才なのである。
ビアスは先の戦闘をもって弟子入り試験合格とし、ケンプ、マゼンダ、アシュラと互いの天才を
競い合う様に命令を下す。
オブラーは大教授ビアスに在籍を嘆願するが、またもやパワーが尽きて豪の姿に戻ってしまう。
かつての仲間の嘲笑を受けつまはじきにされた豪は、ギルドスの十字架剣を奪って脱走。
ボフラー戦闘機に乗り追撃を振り切って、故郷の近くの海へと着水する。

豪は、実家で(おそらく)一人、行方不明とされている息子を待っていた母の元へと帰還する。
彼の身を案じる母の言葉には全く耳を貸さず、豪は自分が子供の頃から使っていた実験室に
直行、誰が訪ねて来ても自分の存在は黙っている様にと、母に指示を出す。

勇介たちは、ボフラー戦闘機の着水地点から手掛かりを辿って豪の実家へ到着、ただならぬ
叫び声が聞こえる実験室から豪を救出しようとするが、息子を盲信する彼の母と口論になる。
「言えない・・・どうして豪の実態が言えよう」  彼が武装頭脳軍ボルトの一員である事を告げら
れず、勇介が苦悩しているその最中に、豪は実験室から飛び出して、皆の前でオブラーへの
三度めの変身を遂げる。彼は十字架剣の不思議なパワーを使って、誰にも負けない完璧な
オブラーとなり、ケンプ達を見返すつもりなのである。

「お前ってヤツは、親御さんの目の前で何てムゴい事を!」 かつて自分がされた仕打ちを目の
当たりにし、激昂した丈はオブラーに殴り掛かる。
丈をいなしたオブラーは、再びボルトに戻るためにライブマンを倒そうと勝負を挑んでくる。
彼と戦う気のない勇介たちは逃走、途中でサイセイヅノーらとの挟み撃ちを受ける形となる。

変身しての戦闘の最中、十字架剣に狙いを定めたレッドはライブラスターでオブラーの手から
十字架剣を弾き飛ばし、奪った剣をサイセイヅノーに投げつける。(おそらく十字架剣の不思議
なパワーにより)再生パワーをなくしたサイセイヅノーはライブマン達に倒される。

オブラーは、ギガファントムを放ちに現われたガッシュにどつかれつつ退散、戦い終えた勇介
たちは、泣き崩れる豪の母の姿を前に、この親子の運命の行くすえを案ずるのであった。


総論

オブラーのリタイアを3週に渡ってじっくり描きつつ、新キャラの登場イベントをからめるという
観る側を飽きさせない工夫が見事です。
今回注目したいのはギルドスの十字架剣。設定を必要最低限におさえる事により、新キャラの
得体の知れない強さを演出すると共に、いつも以上のボリュームがある話を非常にスムーズ
に進行させると言う、効果的な使い方をされています。


見所

・「やっぱり豪は天才、普通の子とは違うんだわ」

帰ってくるなり実験室に直行した豪を見送った後の母(ちなみに表札によると尾村俊子)の台詞。
まあ、確かに普通ではありませんね。
彼女は、最初こそつれない豪の態度にとまどいを見せるものの、命令を受けた途端になんだか
嬉しそうな表情を見せています。言うまでもなく、それが彼女が望んだ豪の姿だからなのです。

・「そしてついには科学アカデミアにも合格した、大変な天才なんです」

口論の最中、自分の息子の自慢を始めてしまう俊子さん。(余談ですが、このシーンをはじめ、
彼女の表情は実に細やかに演じられています)その行為自体アレですが、目の前に当の科学
アカデミア出身者がいる事に気付いていないのが余計に滑稽です。
喋っている最中、丈がカメラの前を横切って壁によりかかるのですが、なんだか彼女にあきれ
返っているサマを表現している様にも見えます。

・「わたしは豪を信じています。豪の事は、豪を育てたわたし自身が一番よく知っています」

そりゃそうだ。あんたが望んだ通りに動いているんだから。勇介が、この人相手に豪の実態を
告げられずに苦悩するのも無理はありませんね。
直後に彼女は手痛いしっぺ返しをくらいますが、それもただ単に彼女が望んだ豪の姿の延長
線上で起こった出来事に過ぎないのです。

・母をだます形で変身をとげるオブラー

前にも似たような事を書きましたが、彼は母をだましたりはしていません。目的のためならば
手段は正当化されると言う教えを忠実に守ったに過ぎないのです。
ある意味、彼は非常に真っ直ぐな性格です。盲目的なまでに。
 


21話   「豪よ聞け!母の声を・・・」


あらすじ

ドクターオブラーは、最後の決着をつけるべくライブマンに挑戦状を叩き付けるが、待ち合わせ
の最中、ドクターアシュラによって連れ去られてしまう。
アシュラら地球の天才達は、ギルドスに対抗するために3人で手を組み、オブラーの体を利用
して頭脳獣オブラーヅノーを作り出す。彼らは、 オブラーとの区別をつけるのがほぼ不可能な
オブラーヅノーをライブマンと戦わせ、消耗した所を叩くつもりなのである。

アシュラらの思惑とは多少違い本物のオブラーも戦いに加わってしまうが、オブラーと戦う意志
のないライブマン達は戦力を二手に分散されてしまう。
勇介は説得を試みる事で、自分が相手をしている方が本物のオブラーだと見抜くが、もみ合って
いるうちにオブラーもろとも崖から転落してしまう。

オブラーより先に気絶から立ち直った勇介は、彼を助けるために豪の母を説得、ベンキョウヅノ
ーの件や科学アカデミア時代の豪の勤勉ぶりを語って、豪の根底に母との関係がある事を説明
し、豪のために動いてくれる様、懇願する。
勇介に動かされた彼女は、オブラーのいる場所へと駆けつけ和解を試みる。
そこへ突然現われたオブラーヅノーの凶刃から、母をかばい傷を負ったオブラーは、(自分の
意志で)元の人間の姿に戻る。

ケンプや丈たちも駆けつけた所で戦闘が始まり、ライブマン達は戦力差を前に苦戦を強いられ
るが、豪のために奮起しオブラーヅノーを集中攻撃する事で勝利をおさめる。

豪の母は、廃人同様となった豪を支えて暮らす事を決意。勇介たちは、いつの日か豪が破壊
された精神を取り戻す事を信じるのであった。


総論

何ともショッキングな幕切れです。ケンプ達の、かつての友人を友とは思わぬ所業(ケンプ達に
友情と言う概念自体が存在するかどうか疑わしいのですが)により誕生したモノが、そのもの
ズバリのオブラーヅノー(!)。ミもフタもないストレートなネーミングが事の残酷さを際立たせて
おり、視聴者へ強く問題提起を働きかけています。

文字通り、身も心もすり切れきってしまった豪ですが、陳腐な言葉で言えば彼にとって救いだっ
たのは、母が物分かりのよかった事ではないかと。
蝶を撃ってボルトへ入った(オープニングでのイメージ映像) 彼が、ほとんど物事の分別がつか
なくなった中、蝶を見て笑みを浮かべるシーンが実に印象的です。


見所

・「ライバル出現の効果が早速表れたと言うワケか、こうでなくてはならん」

ギルドスに対抗心を燃やすケンプ達の姿を見て、ほくそ笑むビアス様。前々回オブラーのリタイア
が発覚した途端にギルドスが現われた事や、後に明らかになるギルドスの正体と合わせて視聴
すると、なかなか感慨深いモノがあります。

・「笑わせるな!天才とは俺達の事。貴様なんか天才のうちに入るモノか」

オブラーを見下すケンプ達。実はボルトへの入試問題を受け取ったのは剣史とルイだけで、豪は
ケンプに言わせると「お情けで入れてもらえた」のです。つまりはケンプ達への当て馬だったと。

・「ドクターオブラーを作ったのは、あなたなんです!」

現実から目をそむける俊子さんに、文字通り少しずつ距離をつめながら説得を試みる勇介。
さすがにキツい指摘をし過ぎたためか、直後に彼は視線を逸らしてしまいますが。
やや急ぎ足ではありましたが、自分の目で見た豪の姿を論拠にして原因と対処法を説こうとする
展開は見事でした。
 


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