フラッシュ!奇面組感想


23話(2003年11月号)事代先生の緊急家庭訪問の巻そのB


総括

進む方向性について迷っておられる、なんかそういう様な印象を受けました。
とりあえず、ネタを過去に求めるのはやめて、今に目を向けてみてはいかがでしょうか。
今回、「捕獲フィンガー」ネタをほとんどそのまま使ったのは、あまりいただけません。今は廉価版や
漫画喫茶などで過去の作品に触れる機会が多い時代ですので、こういうのは新しい読者にとっても
ネタバレ同然だと考えて良いのではないかと思います。
同じやるなら例えば、事代先生が店に入ろうとしたら鉄格子に行く手を阻まれ顔をぶつけ、続けて
落ちてきた看板に頭をぶつけ、面くらってる所に巨大な手が覆いかぶさるがこれは事代先生得意の
柔道技で回避、調子こいてる所で、突然動いた人差し指に弾き飛ばされる、とか(食い意地息子撃退
フィンガーにはおよびませんが)、せっかく事代先生VS店のかまえと言うおいしいネタを素材にしてる
のですから、少なくともこの位はやらないとウソではないでしょうか。
何も今流行の作風を取り入れる(新しい読者に媚びる)必要はありません。ネタをしゃぶりつくそうとする
パッションさえあれば、あとはキャラクター達が進む方向を決めてくれる(私の見た所、キャラクターの
とらえ違いはされてません。作者本人なのですから、全くもって当たり前の事なんですけど)のでは
ないかと、おそらくそう思います。
その点、豪クンパートの方は、遠慮ない意地の張り合いや、クスリと笑えるダジャレ、よくは解からない
けどとにかく最近のプロレス技など、ノリノリで描いてらっしゃる感じがして良かったです。
なんとも今回は、後半の思い切りの足りなさが惜しい話でした。

今回のツボ

豪クンVS事代先生。何だよお前ら、その足は。
怪しさ全開の事代先生。

今回のニヤリ

頭を下げさせてる、千田郎さん。
やたらと頑丈なビール瓶。安全第一。
ダッ(テアイスクリー)ム
大クンの内股走り。こういう気遣いは相変わらず流石です。


24話(2003年12月号)「気にいらないね」の巻


総括

ここ数ヶ月の不調を吹き飛ばすにふさわしい、気迫に満ちた話でした。
かなりネタが練り込まれており、フラッシュ!の中でも一二を争う出来の話だったと
思います。
もうちょっと贅沢を言わせてもらうなら、あとは絵の問題でしょうか。
なんとなく作品の空気に入り込みにくく、読んでいてたまにですが、視線が紙面の外に
はね返されてしまう印象を受けます。
私にはその経験がありませんので、カンで言いますが、フラッシュ!が13ページに
なってから感じる、なんだか微妙に話が短い様な気がする感覚と、根っこは同じ部分に
ある様な気がいたします。
あえて苦言も呈しましたが、今回は非常に良かったです。
旧作が果たし得なかった何かを見せてくれるかも知れない、そんな期待を抱かせるに
充分な話でした。前向きな姿勢は高く評価されて然るべきだと思います。

細部所見

今回の話は、キャラクターを再構築する意思が、かなり強く押し出されています。
まずハッキリと目立つのが、物月さん。旧作では、おそらく恋愛方面で張り合う
心積もりだったのが、相手が唯ちゃんだったために勝負にならず、埋没していった
感のあるキャラですが、
あ、繰り返し言いますが、唯ちゃんは恋愛オンチじゃありませんよ。例えて言うなら
周りはポップスを歌ってるのに、コイツらはなぜかヨーデルを奏でてるみたいな、
そんな感じで土俵が違うんで勝負にならないんです。
今作では珍しい物好きと言うアイデンティティから見つめ直して、(面倒な事にまで)
何でも首をつっこみたがる性格と言う風に解釈した様です(確かにそういう人を、
物好きな奴と言います)。
千絵ちゃんの言う様に、3年〜ハイスクール!初期の唯ちゃんと性格がかぶっているの
ですが、この先例えば、かつて塊クンを手玉に取った時の様なしたたかさが描写されたり
していけば、彼女なりのカラーがハッキリ出て来るのかも知れません。
今回の新解釈は(フラッシュ!では未確定要素ですが)後の真実クンとの関係に深みを
与えそうな、面白い解釈だと思います。
あ、物月さんが唯ちゃんの代わりだと言ってるんじゃありませんよ。旧作でも真実クンは
全身で感情をアピールする珍しい男でしたし、物月さんは物月さんです。

引き合いに出した唯ちゃんの方は、これまた千絵ちゃんの台詞で、今作では現在の所、
3年初期とは異なった振る舞いである事が説明されています。
おそらく旧作では仕組の時期に相当するのでしょうか。これは今作の物月さん(中学では
出会わなかった人物)の言動がクローズアップされた事により、成長の時期が前に
ズレ込んだと解釈しても良いのではないかと思います。
前にも書きましたが、彼女のキャラクターは顔だけでは説明できません。例えば、翔クン
みたいに開き直った生き方もアリなはずですから。

晩年は正義の不良みたいになった感のある御女組ですが、現時点ではおおよそ伊狩先生
相手につっぱってた時期の性格であるみたいです。
彼女のアイデンティティは、スキーで坂を登っていっちゃう様なあまのじゃくさの方にあります
ので、いいとか悪いとかはどうでもいいかな。番組とキャラがかぶっちゃうのもつまんないし。

他の主要キャラは、今の所これまでと変わった点はない様に見えます。
織田さんが普通の性格に見えますが、かつて若人先生の脱ぎます発言に慌てふためいた様に
元々マトモな部分も持ち合わせてますので、そういう部分の描写が多かったと考えるのが
妥当なんじゃないかと思います。

細部所見その二

カウンタックネタがとても面白かったので、感想をタラタラと。
道路の真ん中を変な排気音を立てながらゆっくりとと言うのは、どうせやるならここまでと言う
いい見本。次のページの台詞から判断するに、とりあえず動いていれば邪魔にはならないと
考えているみたいです。このオッサン達は。
カウンタック自体は、幼い頃図鑑や消しゴムなんかで慣れ親しんだ車なのですが、それを
オープンカーにしてしまうとは思いもよらなかったです。それをきっちり絵にして見せる心遣いも
お見事。ガルウイングが泣いてるぞ、オイ、みたいな。
平たい車を立てかけてしまうと言う発想も思いつきませんでした。これまた実際に見ると
インパクトが違います。
ここまでやっていただければ大変満足です。生意気言って返す言葉もございませんでした。

今回のツボ

物月さんと邪子さんの冴え渡る舌戦。どんどんステータスが下げられてるし。
カウンタックのオープンカー。頭がデカいから入りきらないのね。
その辺に立てかけられてるカウンタック。

今回のニヤリ

小学生並の頭に咲いたお花。
全員座り方が違う御女組。影やハシゴも芸コマ。
確かに素手では相手になってない真実。三倍段でもムリだったが。
腰が抜けてる織田さん。


25話(2004年1月号)あまのじゃくな女の巻


総括

まさかここまで用意周到だったとは、予想外でした。
いい意味で予想を裏切られたので、普段交じり合わないキャラクター達の駆け引きを、
最後までテンションを落とさずに楽しく読む事が出来ました。
今回もなかなかの良作だったと思います。

今回のツボ

「時間かせげてないよ〜っ」ご無体な。
空回り全開な真実クン。姑息な反則も混じってるし。
偶然奇面フラッシュ。まだネタが仕込んであったとは。

今回のニヤリ

よく見れば、ヅラ。
相変わらずマイペースな幾重さん。
ハ・・・ハカマ?
遠くで面目なさそうな二階胴クン。


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