フラッシュ!での時間の流れを直接3年やハイスクール!に結び付けるのは
少々反則なのですが、この話での唯ちゃんの行動原理を理解していただく為
に、今回は積極的に引用したいと思います。
まず、一番気になるのは、果たしてこの時点で唯ちゃんは零クンに恋愛感情
を持っているのかどうかと言う点ではないかと思いますが、YES・NOでキッ
パリ分けるのならば答えはおそらくYESだと思います。
彼女は、時期によって立ち居振舞いのかなり変化しているキャラですので、
いちがいにこうだとは言いきれないのですが、3年4巻で水泳の授業の際、
零クンにいきなり隣りに座られてもじもじしている描写や、3年5巻で(今まで
告白をことわり続けた)その結果が「アレ」だと、零クンの事を千絵ちゃんに
指摘されている事などから、少なくとも何らかの好意をいだいている事は明
らかではないかと思われます。それを恋と呼べるかどうかは別として。
今回、受験についてチラッとふれられていますが、これは唯ちゃん達と奇面
組とがこの先一緒の環境にはいられないかも知れない状況である事、すな
わち唯ちゃんにとってはラストチャンスである事を表わしています(3年5巻
P177参照)。
まだ先の展開が確定していない時点でこう考えるのは早計ですし、互いの家
はそう離れた所にある様には見えませんので、会おうと思えばいつでも会え
るハズではありますけれども。
ことわっておきますが、唯ちゃんは決して恋愛オンチではありません。
彼女はおそらく不可侵領域の壁が人一倍高いキャラ、言ってしまえば好き嫌
いのはっきりしている性格です。この点に関しては、特に3年初期のリアクシ
ョンの数々にそれが表われているかと思います。
彼女は「困っている人を見るとほってはおけない」性格であって「人の要求を
断りきれない性格」ではないのです。
まあ、奇面組に対してはかなり甘いですし、アニメ化以降その線引きは次第
にあいまいになったキライはありますが。
今回、零クンのチョコだけ大きいのは、おそらく唯ちゃんが奇面組の他の4
人に好意を持っていると誤解されないための予防線としての意味合いも含
まれているのではないでしょうか?
読み切りや最終回でのメンバーの反応を見る限りでは、彼らの間でそんな
ヤボな誤解は生まれにくいかとは思いますけれども。
そんな背景もあって渡した今回のチョコ、添えられたカードに書いてあるメッ
セージに注目して下さい。どこにも告白の言葉は述べられていませんね。
「スキです」でも「つき合ってください」でもなく、「受験勉強がんばってね」と言う
非常にありきたりな言葉が添えられています。
チョコの中身まで確認する事は不可能なのですが、画面から得られる情報か
ら判断する限りでは、まだ告白するには至っていない、つまりハイスクール!
8巻での「そーゆー感情まだない」発言を律儀に守ってらっしゃるんですねえ
新沢先生は。
最初に述べた様に、直接3年やハイスクール!に結び付けるのは矛盾も生
まれますし、1話でのコロコロ変化する豪クンの服装の様なチョンボも多々
見られるのですが、ここまで多くの気を使って(正直使い過ぎと思える程なの
ですが)、そして何より決して媚びる事なく真摯にフラッシュ!が執筆されて
いる事をご理解していただければ幸いに存じます。
ハイスクール!終盤の、1週ごとに身の削れていくのが解る、あの感覚と比べ
たら、1歩ずつ前進しているのが解る今の方が1億倍幸せだとは思わんかね?
ついでに、と言うと彼女に失礼なのですが、今回の千絵ちゃんはチョコ作りを
失敗してみせたり(彼女の料理の腕前からして当然の結果なのですが)、色
男組に話題を振ってみせたりと、「なるべくやりたくない」抵抗を精一杯行なっ
ていますね。
3年とフラッシュ!のドコを読んでも彼女が豪クンに好意を持っていると自信
を持って断言できる様な描写は見当たりません。奇面組が彼女にとって身近
な存在である事は間違いないのですが。
この、好きだか嫌いだかよく解からない態度は、今回のさもついでであるか
の様なやたらとぶっきらぼうなチョコの渡し方に良く表わされています。
この辺りのバランス感覚も絶妙だと思うのですが。
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