おジャ魔女どれみ各話感想



45話「サンタさんを救え!」  ####


主題...「お前ら絶対グルやろ!?」

      虫取り網なんぞを持ってヘンにヤル気満々だったので、てっきり「プレゼント
      もっとよこしやがれ」とでも言うのかと思ってただけに、ぽっぷの台詞には
      意表を突かれました。
      道端で倒れてみたり、納期ギリギリのトラブルに慌てふためいてみたりと
      何だか妙に余裕がない所から見て、サンタさん達はアニメスタッフ達の
      暗喩ですね、この番組でなくとも珍しくないパターンですが。
      今回は、アニメに携わる人々と子供達の未来へのプレゼントの話だったの
      ですが、最後の最後にわざわざ雰囲気をブチ壊しにおいでになる女王サマの
      底意地の悪さには、かなり笑わせていただきました。


見所...誘いを断わっていたハズのおんぷサマにツッコミを入れてしまうはづきちゃん

      まさか本気で言い訳を信じていたワケではないでしょうが。
      置き手紙のシーンは、その時点まではどれみ達よりも優先させたい程の
      大事な用事であった事を示しており、言うまでもなくこれは49話の
      伏線になっています。

    ・ 劇中、初めてマトモな事に魔法を使うおんぷちゃん

      考えてみれば「魔法を便利に使う」とは言ってますが「人を困らせるために
      魔法を使う」のが目的だとは一言も言ってません。
      彼女は天性のウソつきですので、言葉通りの意味ではないとしても。

    ・ 「あたしも要りません、マジョリカの分も要りません!」

      ぽっぷの為に、自分だけでなくマジョリカの権利まで勝手に放棄しちゃってます。
      犯人はもちろんはづきちゃん。
     


46話「魔女のかくし芸大会!」  ###


主題...「解かった、バッドカードの仕業・・・アレ?」

      普通に立ち直っちゃいましたね。イヤ、ワケの解らない物なんぞを
      持ち出されるよりは、よっぽどいいのですが。


見所...マジョリカマンボ

      絶対次のCDに収録されるハズだと思っていたら、会社そのものが
      なくなっちゃいました。
      も〜っと!の時代に無事収録されましたが。

    ・ デラの出現に、あまりいい顔をしないマジョルカ

      デラの弁では、彼女は確かお得意サマのハズですが・・・。
      どうやらおんぷちゃんの浪費グセはマジョルカも快く思ってない様です。

    ・ 首芸や指芸につられてしまう女王サマ

      普段とのギャップが、なかなか見モノでした。それとは逆に、いつも通り
      ただ一人冷静なマジョリンも。
     


47話「お父ちゃんのお見合い」


見逃しました、不覚。まさか正月にやるとは・・・。



48話「おんぷのメールはラブレター?」  ###bbbbb


主題...「おんぷちゃんバンザーイ!」

      今回、責められるべきは、おんぷちゃんではありません。
      万単位の相手にいちいち返事を書くなど土台無理な話、責められるは
      ヘヘなんぞに後先考えずに仕事を任せたおんぷちゃんの監督能力の
      無さの方にあります。
      正直、イタズラの可能性も考えられず、挙げ句の果てに集団で女の子を
      追いかけ回してしまうような愉快な脳構造をお持ちの方々への対応は
      いくら何でももう少し考えた方がよろしいかと存じます。
      「てへっ」一発で場を丸く納めてしまうカリスマ性に関しては見事としか
      言いようがありませんが。


見所...「あたしがどうなろうと関係ないじゃない!」

      まず、この台詞自体から解かるように、彼女は禁断魔法を使ったら何か
      気まずい事態が発生する事を、聞いてないフリしていたにもかかわらず
      ハッキリ自覚しています。
      知っててワザと使うと言うのは、これは緩やかな自殺をしていると見て
      良いでしょう。本当に魔法を便利に使いたいのなら、自分がどうかなる
      様な事態は避けて然るべきのハズです。

    ・ 「どうしてよ!どうして自分の事でもないのにそんなに一生懸命になれるのよ」

      人の心を変える魔法の大安売りをしようとしたおんぷちゃんと、それを
      止めようとするあいちゃんとのマジ喧嘩。おんぷちゃんがここまで
      ハッキリと他人と衝突するのは珍しく、ここには彼女の本音がかなり
      表されていると考えるのが妥当ではないかと思われます。
      この「自分の事でもないのに」と言う台詞には、極めて自己中心的な
      性格、裏を返せば強い他人への不信感が如実に現れてます。
      彼女にとっては自分(にとって興味のある対象)以外のために動ける
      人間など到底信じる事ができない存在なのです。

      それなのにわざわざ「どうしてよ」と相手に疑問を投げかけていますね。
      実は彼女は、今までずっと他人に対して同じ様な質問をし続けてます。
      「あなたが興味あるのは、瀬川おんぷとガザマドンのどっちなの?」
      「あなたが見たいのは、瀬川おんぷとバトルレッドのどっちなの?」
      「あなたが会いたいのは、瀬川おんぷとアイドルのおんぷちゃんのどっち?」
      と言った具合に、ワザと相手の興味のある対象と自分とを比べさせて
      その人が、興味ある事以外で動けるかどうか試しています。
      魔法を得た彼女は、マジョルカに対しても同様の問いかけを行なって
      います。人生・・・いや、魔女生を天秤にかけられるとはいい迷惑ですが。
      この方法で得た答えは全て後者でした。彼女が意図的にそうさせているので
      (あなたも自分の事の方が大事なんでしょ?と)当たり前の結果ですけど。

      もっとも彼女は、他人のために動ける人間がいる事を知ってはいます。
      そして、その自分にとって信じられない世界が本当に存在するのかどうか
      見てみたいという欲求は持っています。
      45話でどれみちゃん達と一緒にプレゼントの権利を放棄して見せたのが
      その証拠です。本当に信じられないどうでもよい事ならば行動を起こそう
      とは思わないハズです。
      ただし、その意味する所は全くもって解っていません。他人を信用して
      いない彼女にとっては理解不能な事柄なのです。
      彼女の望む、他人の目を自分に向けさせる事とは、他人の信頼を得る事
      でもあります。他人の信頼を得るためには、他人のために動ける事が
      必要なハズです。
      そこまでは彼女も気付いているハズなのですが、自分で矛盾を発生させて
      いるため、そこから先を理解する事ができないのです。

      彼女のひねくれようの正体は、求めるモノを求めようとすればするほど
      障害を高くしてしまう、ジレンマにあるのではないでしょうか。
      今回怒ったのは、そう言ういらだちが表に現れたモノではないかと思われます。
      そんな疑問に対する、あいちゃんの答えは実にあっけないモノでした。
      求めるモノは、最初からそこにあったと言う、ただそれだけの話なんですね。
      どれみちゃん達の様な国宝級のお人好しが相手だったからこそ成り立つ
      話なのですが。

    ・ 「ダメよ、そう言うワケにはいかないわ」

      マジョルカの態度を見れば解る通り、見境いをなくした暴徒の群れの中に
      パンダよりも珍しい珍獣瀬川を放り込むなんざ、とても正気の沙汰とは
      思えません。客観的に見て、後でホームページで事情を説明しておけば
      済む事です。
      しかし、求めるモノを受け取ってしまった彼女は逃げるワケにはいかな
      かったのです。「てへっ」一発で済む関係の人達ではなく、どれみちゃん
      達のために。
     


49話「パパに会える!夢を乗せた寝台特急」  #####


主題...「よく解らないから魔法って言うんですよ」

      人とは違う環境で育ったおんぷちゃんにとって、家族という人間と芸能界
      という世間以外からの視線は、全て色眼鏡のかかったモノでした。
      彼女の、自分を見てもらいたいと言う欲求は、すなわち偏見を持たずに
      自分の事を評価して欲しいという意志の現れでもあります。
      ですから、幼き日のまだ偏見とは無縁だった頃の思い出があり、その頃と
      変わらぬ態度で接してくれているであろう父との関係が彼女にとって一番
      大事であるのは極めて当たり前の事なのです。
      しかし、人間はいつかは死ぬ以上、両親共順当に行けば彼女より先に亡く
      なってしまうでしょう。また、彼女は芸能界をプライドの拠り所に
      してはいても、芸能界に携わる人を信用しているワケではありません。

      自分の事を評価してくれる相手がいなくなってしまった世界など、彼女に
      とってもはや存在価値は全くありません。
      だから、彼女は命を賭けてでも、人の心を手に入れる必要があったのです。
      それがかなわぬならば、死んでも構わないまでの覚悟で。
      道連れにされかけたマジョルカにとってはいい迷惑なのですが。

      さて、今回登場した、父親を亡くした少女森野かれんちゃんですが、もう
      お解かりですね?彼女はおんぷちゃんが将来迎えたであろう境遇に
      立たされています。
      そして、彼女は芸能にアイデンティティーを求めているにもかかわらず、
      上がり症という障害を抱えています。これは言い換えると、他人の視線に
      不安を感じている、他人の視線が信用できない性格である事を意味し、
      前回までのおんぷちゃんとピタリと一致します。(自信過剰にふるまう
      おんぷちゃんとは逆のベクトルを向いてはいますが)
      つまり、彼女はかつてのおんぷちゃんの未来そのものなのです。

      だからおんぷちゃんは、過去の自分への餞別として、人から受け取り手に
      入れた魔法を、未来の自分に分け与えたのです。
      ただ単に父親に対する同情だけで、ほんの数時間前まで名前もよく覚えて
      いなかった 相手に助け船を渡したワケではないのです。


見所...「かれんちゃんの、あがり症を治してって」

      今回のクライマックス。劇中、自分に降りかかってきた問題を(ピーマン等)
      今まで一人で解決(回避)してきたおんぷちゃんが、初めて他人に助けを
      求めるシーンです。それまでの彼女ならば、今からホウキで飛べば大丈夫
      とか言って一人で行動しようとするハズでした。実際、ギリギリ間に合いそう
      ではありましたし。
      正確に言うと、彼女は今までずっと他人に助けを求め続けていたのですが、
      演技、虚言といったバイアスがかかったそれは、とても相手に伝わるとは
      考えにくいモノでした。
      結果的には助かったものの、どれみちゃん達が心配していたのは、禁断
      魔法を使い続ける危険性に対してであって、おんぷちゃんのメッセージ
      そのものを果たして具体的に理解していたのかどうかは疑問が残ります。
      どれみちゃん達が国宝級のお人好しでなければ、そこにあったモノも
      いずれは消えてしまっていたハズですから。
      従って、このシーンにより初めて彼女とどれみちゃん達との間に具体的な
      意志の疎通が発生した事が重要な意味を持っているのです。
      最後のシーンは、彼女が手に入れた魔法を使って、それまで一人では演技を
      かまして諦めざるを得なかった状況を打破し、願いをかなえた事を意味します。
      テレポーテーションの原理についてまでは、よく解からんのですが。
     


50話「最後の見習い魔女試験」  ####


主題...「まあ、アニメだし。」

      どれみにおける魔法は、おそらく使用者の意図を具現化させる媒体の様な
      物ではないかと思われます。
      そしてそれを使いこなせるのは、効果を恒久的に持続させられるスキルを
      持つ一人前の魔女(魔法使い)に限られます。借り物の道具でしか魔法を
      使う事の出来ない者では、目的そのものを達成する事は困難です。魔女見
      習いの使う魔法が、高難度になると回り道になるのがそれを示唆してます。
      その力の源は、地上ではMAHO堂が提供した商品を売る事、言い換えると
      顧客が自分の持つ硬貨やアイテムと引き替えにしようとする意志、すなわち
      求心力によって供給されています。

      では試しに「魔法玉が欲しいから、あなたの持ってるアイテムとMAHO堂
      のアイテムとを交換して!」と顧客に魔法をかけたとしたらどうなるでしょう。
      行為は確かに発生するかも知れませんが、そこには相手の意志、すなわち
      エネルギー源が存在しません。従って行為を成立させるには、それに見合う
      だけのエネルギー源、具体的には術者の意志を引き替えに供給する必要があり、
      意志を抜き取られた術者は、その時間だけ無意識状態として眠りに落ちて
      しまいます。これが、人の心を変える魔法を使ってはいけない理由です。
      相手を生き返らせる魔法が禁止されているのも同様、死んでる相手には意志
      のエネルギーが存在しないからです。
      病気やケガも重度になると生死に関わってきますので同様にタブー視され、
      程度に応じた代償が術者に求められます。

      さて、今回の試験は魔法の効果を与える事によって、相手の意志を向ける
      事が出来るか、と言うモノでした。エネルギー源を確保できてこそ一人前と
      言うワケです。
      マジョガエルの呪いと言う制約の中で行われたそれは、不自然な現象をツッ
      込まれ、タイミングの悪さで顰蹙を買い、言葉も通じない 相手にやっと認めて
      もらえると言う、非常に厳しい結果でした。
      ドリーミンな概念は度々打ち出してくる番組ですが、どうやら夢を見たまま
      寝言を言うみたいなオメデタイ造りはされてない様ですね。


見所...試験前夜、緊張しまくって寝れない3人

      一番真面目なあいこちゃんだけギャグ調ではないのが細かいです。

    ・ ヤケ気味にペロペロキャンデーを舐めるおんぷちゃん

      前回から次第に、今回からハッキリと、それまで基本的にはりついた笑顔を
      浮かべる事しかなかった、おんぷちゃんの表情にバリエーションが見られる
      様になります。
      特にこの様なコミカルな表情は、それまでの彼女からは考えつかないモノです。

    ・ 伝言ゲームの様に広まっていくウワサ

      今までよくバレなかったな、 と言うツッコミはさておき、途中で確信犯を
      約1名 かませる事により、どーでもいいウワサ話が大人を巻き込んだ
      騒動に発展してしまうのは、なかなか愉快でした。
     


51話(最終回)「さようならMAHO堂」  #####


主題...「わしが男塾第三の助っ人、江田島平八である!」

      ・・・しまった、数が合わないや。
      予告で思いっきし登場してますし、マジョリカの言う通り、予定調和では
      ありますが、頼もしい助っ人の登場は、最後の最後にアクセントをひと花
      添えてくれました。
      水晶玉は失ってしまいましたが、魔女の世界と関わりを持ったという体験は
      どのような形であれ彼女達の財産となる事でしょう。
      この物語の幕切れが、それを証明しています。


見所...「あと一回だけなら」

      おんぷちゃんの目は、常に未来に向けられています。正攻法にしろ、回り道にしろ、
      彼女の意識は未来の自分のあるべき姿へと向けられています(たびたび見られる
      克己心の強さは、この表れです)。
      そして、もしそれが叶わぬならば、今の自分の事などどうでもいいと考えています。

      彼女の望みは、偏見を持たずに自分の事を見て欲しいと言う物でした。
      言い換えるならば、周りが当たり前に接してくれる環境が欲しいと言う事です。
      今回の件は、下手をすればみんな揃って魔女ガエル村へGO!と言う事になって
      しまい、これでは全然当たり前の環境を手に入れたとは言えません。
      マジョルカの言うように、誰かが禁断魔法を使わねばならない事態だとするならば
      わずかでも助かる可能性のある、おんぷちゃんが魔法を使うのが合理的であると
      言えなくもありませんし、本人もその可能性を望んではいます。
      しかし、これまたマジョルカとの会話を見れば解るように、 もはやお守りの効果は
      限りなく気休めに近いモノでした。使えばお守りが破壊される事は、ほぼ確実だった
      と見てよいでしょう。

      極論で要約するなら、おんぷちゃんは自分が望んだ環境を手放す位ならば死んだ
      方がマシだと考えていると言う事です。
      これは、48話でどれみちゃん達を追い掛け回す暴徒達を沈めるために、人の心を
      変える魔法を使おうとした件と動機がピタリと一致しています。
      「自分のため」から「どれみちゃん達のため」へと目的意識は大きく異なった様子を
      見せていますが、行動原理そのものは、この時と全く変わっていません。
      決して、いきなり良い子になったと言うワケではないのです。
      だから、事の是非はともかく、女王様がこの行為を是認するワケにはいかなかった
      と言う事なのです。
     


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